先日、「Gamma data」社が東南アジア市場の分析レポートを発表した。レポートによると、2020年に東南アジア地域のモバイルゲーム市場規模は140億元を超え、市場規模は拡大し続けている。
地理的位置が近く、文化的背景が似ていて、貿易交流が頻繁であるなどの要因の影響を受け、近年東南アジアは中国のゲーム企業が比較的に好む海外での事業展開の地域となっている。
東南アジアのモバイルゲーム市場は、2020年に30%を超え、今後も高い成長率を維持することが期待されている。一方、東南アジアのゲーム市場における人口の多さがもたらす経済効果はまだ十分であり、スマホゲームユーザーの数は急速な成長を遂げているにもかかわらず、総人口に占める割合は30%に満たしていない。それに対し、中国や韓国、米国などの国では、ゲームユーザーの規模は45%を超えている。
一方、東南アジアの経済レベルの成長ポテンシャルは、ゲームユーザーの支払能力を向上させることにも繋がる。
「Gamma data」は、東南アジア市場の特徴として、「受け入れられやすいゲームジャンルと中国国内の類似性が高い、後発企業にもチャンスがある」とまとめている。
スマホゲームの売上から見ると、東南アジア市場は中国国内市場の主流のゲームジャンルとの類似性が高い。しかし、東南アジア市場のマタイ効果は中国国内市場ほど強くなく、例えばシミュレーションやMOBAのジャンルでは、東南アジア市場でモバイルゲーム売上ランキングのTOP100に入るシミュレーションゲーム(SLG)が21タイトルあるのに対し、中国国内市場では9タイトルしかない。MOBAジャンルでも、複数のゲームが市場をシェアしており、1つのゲームが絶対的な優位性を占めているという状況ではない。
ゲームだけでなく、東南アジアの市場全体の構図から見ても、複数の企業が競い合っている状況になっている。モバイルゲーム製品はTOP100には60以上の企業が関わっており、15%以上のシェアを占めている企業はない。
製品の競争状況や企業のシェアから見ると、後発企業の市場機会が多く、競争の激しい先端ジャンルでも、新規のゲーム企業やゲーム製品がシェアを奪う機会が多い。
eスポーツゲームは東南アジアで高い市場シェアを占めている。製品面では、「Gamma data」によると、2021年1月から6月までの東南アジアにおけるモバイルゲームの売上ランキングのTOP10に入っている製品の50%がeスポーツの要素を取り入れている。
eスポーツ大会については、『モバイルレジェンド:バンバン』、『王者栄耀』等のトップレベルのeスポーツゲームは、すでに東南アジアでレイアウトを展開している。それに伴い、「英雄体育」や「Nimo TV」等の専門組織も大会の開催やイベントのライブストリーミングなど、eスポーツ関連のビジネスを展開している。
企業のレイアウトだけでなく、東南アジアの政府機関やゲームユーザーもeスポーツに大きな関心を寄せており、今後の産業展開の原動力になると予想されている。例えば、第31回東南アジア運動会にはeスポーツ種目が設けられ、関わったゲームの数は前回より2タイトル増えて8タイトルとなった。『モバイルレジェンド:バンバン』のプロ競技大会のような大きな大会では、最大同時接続者数は116万人に達するという記録を残した。
中国のゲーム企業が東南アジアに進出する過程では、ユーザーの競技要素に対する好みにも注意を払う必要がある。eスポーツ以外の他のジャンルでは、競技性が相対的に弱い製品は、eスポーツ的な要素を取り入れることによって、ユーザーの粘着性を強化し、製品のライフサイクルを延長し、市場での売り上げを向上させる事につながると予想される。